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【2025/03/10 23:05 】 |
残業代請求
本ブログでは、時間外労働手当に関する裁判例を紹介しています(つづき)。

三 消滅時効について
1 被告は,平成7年10月以降の時間外割増賃金(残業代)の請求について時効を援用しない旨の本件協定は,東部労組エスエイロジテム支部との間で締結したものであるから,原告らに対し個別的に時効を援用することを禁じる趣旨でないと主張する。
 確かに,本件協定は,被告と東部労組エスエイロジテム支部との間で締結されたもので,その所属組合員である原告らそれぞれと被告との間の直接的な合意ではないが,時効を援用しないとする対象が平成7年10月分以降の時間外割増賃金(残業代)の請求であることは明らかである(前記一3)。そもそも時間外割増賃金(残業代)は東部労組エスエイロジテム支部に所属する各組合員に個別的に発生するものであり,同組合が当事者として被告に対して時間外割増賃金(残業代)を請求できるわけではない。しかし,同組合は,所属組合員の利益を代表して,所属組合員に個別的に発生する時間外割増賃金(残業代)の請求について被告と協議を行う中で,時効を援用しないとする本件協定を締結したのである。
 そのことからすれば,同組合に所属する各組合員は,それぞれが被告に対して有する時間外割増賃金(残業代)の請求について被告が時効を援用しないものと考えるのが通常であり,本件協定の効力が各組合員に直接及ぶかどうかはともかく,少なくとも,被告が,本件において時効を援用することは信義則に反し許されないものと解すべきである。
2 また,被告は,本件協定は互いに誠意をもって充分に協議することが前提になっており,その協議が整うまでの間時効を援用しないとする趣旨にすぎないから,協議の継続が不可能となった場合にまで,訴訟において時効を援用を禁ずる趣旨ではないと主張する。
「協定書」(〈証拠略〉)の文言からすれば,互いに誠意をもって充分に協議を尽くすことが前提となっていたことは窺える。しかし,そのことから直ちに,協議の継続が不可能となった場合には時効の援用を禁じる趣旨ではないと解することはできない。「協定書」には,協議が整わなかった場合についての記載はないし,仮に被告の主張のとおりとすると,協議が長引き,結局協議が決裂した場合,各組合員は訴訟を提起しても,被告に時効を援用され,その請求が認められないことになり,時間外割増賃金(残業代)の未払からの救済の道が閉ざされることになる。言い換えると,本件協定の趣旨が被告の主張のとおりなら,協議が長引くことによる危険は一方的に組合側が負わなければならなくなるのであり,近い将来被告が組合の要求を受入れるであろうといった特別の事情もないのに,組合側がそのような趣旨の協定を締結するとは到底考えられない。協定書の文言や当時被告と東部労組エスエイロジテムが時間外割増賃金(残業代)の問題に関して協議を行っていた状況(前記一3)に照らせば,問題の解決に向けて第1に労使双方で誠意をもって協議を行うこととし,協議が決裂した場合,時効によって組合側が負担することになる危険を回避して,充分な協議を尽くし,労使間で円満な解決を図ることを可能にするために被告は時効を援用しないという趣旨で被告と東部エスエイロジテム支部は本件協定を締結したものと推認することができる。また,被告は,原告らが,本件訴訟を提起したことによって,労使間の協議の継続が不可能になったとも主張するが,訴訟提起には,法的に労使間協議を中断あるいは停止させたりする効力がないのはもとより,事実上も労使間協議を断絶させるものではなく,実際訴訟提起中であっても,団体交渉等労使間協議を行う例も少なからず見受けられるところである。
3 右に本件訴訟提起まで労使間の協議を行われてきたことを併せ考慮すれば,時効を援用しない旨の本件協定により,被告は時間外割増賃金(残業代)について時効を援用せず,順次時効の完成後債務を承認してきたものというべきである。
四 以上の次第で,原告らの請求は理由があるから認容し,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,仮執行宣言について259条1項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。


企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、契約している顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談交渉敷金返還請求・原状回復多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題家族の逮捕などの刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

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【2011/03/17 22:51 】 | 残業代請求
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