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当ブログでは、時間外勤務について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
第二 事案の概要 本件は,被告の従業員である原告らが,被告に対し時間外割増賃金(残業代)の一部が未払であるとしてその支払を求める事案である。 一 当事者間に争いのない事実等 1 被告は,貨物輸送及び石油製品の販売を業とする株式会社である。 原告らは,被告の従業員で,東京東部労働組合エスエイロジテム支部(以下「東部労組エスエイロジテム支部」という。)の組合員である。 2 被告の賃金の体系は,基本本給,勤続本給,乗務手当,業務手当,家族手当,加算手当及び通勤手当からなっている(なお,原告長谷川隆一については,平成7年度,右に加えて班長手当が支給されていた。)。被告において,平成9年8月分までの時間外割増賃金(残業代)の計算基礎賃金は,基本本給,勤続本給及び乗務手当であり,業務手当及び加算手当は含んでいなかった。 3 被告において,賃金の支払は毎月末日締めの翌月15日払いである。 二 主たる争点 1 未払の時間外割増賃金(残業代) (一)原告らの主張 (1)労働基準法(以下「労基法」という。)37条4項によれば,時間外割増賃金(残業代)の計算基礎から控除できるのは家族手当,通勤手当その他命令で定める賃金とされているにもかかわらず,被告は,平成7年10月分から平成9年8月分までの時間外割増賃金(残業代)について,右に該当しない業務手当及び加算手当を時間外割増賃金(残業代)の計算基礎から控除して支給したため,原告らの時間外割増賃金(残業代)について,別表二の1ないし5〈2~5略〉の各割増賃金(残業代)計算表「未払賃金」欄のとおりの時間外割増賃金(残業代)が未払となっており,その合計額は,各原告らについて次のとおりである。 原告 長谷川隆一 63万7416円 同 今井明 51万3307円 同 菅谷光哉 113万2539円 同 浜辺良信 111万6976円 同 山田進 66万5094円 なお,原告らの時間外割増賃金(残業代)の計算基礎となる時間単価は別表一の1ないし5〈2~5略〉の各計算基礎賃金表「時間単価」欄のとおりである。また,原告らの時間外労働(残業)時間は別表二の1ないし5の各割増賃金(残業代)計算表「時間外労働(残業)時間」欄のとおりである。右時間外労働(残業)時間は,平成9年3月分までは週44時間制の下,月間所定労働時間191.33時間を超える時間であり,平成9年4月分以降は週40時間制の下,月間所定労働時間174.48時間を超える時間である。 (2)被告は,原告らが,労基法上の根拠と労働契約上の根拠を混同し,労基法の規定する1週40時間,1日8時間を超える時間外労働(残業)を行ったことを具体的に主張・立証しないと主張するが,被告の所定労働時間は,平成9年3月までの週44時間制の下で,年間総労働時間にすると,労基法の年間総労働時間を超えるから,法内時間外労働(残業)の問題を生ずることはない。平成9年4月以降の週40時間制の下でも,原告らは,右時間より多い労働時間を所定労働時間として,時間外労働(残業)時間を算出しているから,やはり法内時間外労働(残業)時間の問題が生じる余地はない。 (二)被告の主張 原告らは,労基法に根拠を有する時間外労働(残業)賃金の算定基礎賃金に,労働契約に根拠を有する時間外労働(残業)時間数を乗じることによって未払時間外割増賃金(残業代)を算出しているが,右請求は労基法上の根拠と契約上の根拠を混同するもので失当である。原告らは,労基法に根拠を有する時間外労働(残業)賃金の請求をするのであれば,1週実働40時間,1日8時間を超えて労働したことを具体的に主張・立証すべきところ,被告が所定労働時間外と取り扱った時間外労働(残業)時間の総時間数を算定基礎としているにすぎない。しかし,被告が所定労働時間外と取り扱った時間外労働(残業)時間は労働契約に基づくもので,直ちに1週実働40時間,1日8時間を超える労働時間とはならない。したがって,時間外労働(残業)時間について主張・立証しない原告らの請求は棄却されなければならない。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、御社の顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、会社都合の不当な解雇、交通事故の示談交渉や慰謝料交渉、相続や遺言の問題、原状回復(敷金返還)や多重債務の返済、家族の逮捕などの刑事弁護事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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